温海かぶ JA庄内たがわ温海支所 一霞生産組合:組合長 佐々木茂さん
佐々木 茂さん シルクロードを渡ってきた温海かぶ 伝統的な焼畑農法を守り収穫したかぶは 長年のカンと経験で絶品のかぶ漬けに。
400年前にシルクロードを経て温海に定着、全国的にも珍しい焼き畑農法の伝統を守り栽培。
温海かぶ

 温海かぶはこの一霞集落で約400年前から焼畑・自然農法で栽培されてきました。いつ温海にこのかぶが来たのかいろいろと説はあるのですが、記録に残っているものでは徳川将軍時代に献上物として「温海かぶ」を用いていたことや、400年前に書かれた一霞集落成立に関する古文書にも、「温海かぶ」に関する記述を見ることが出来ます。

 このあたりでは、農家がかぶを植える場所を4〜5ヶ所持っています。そして一ヶ所につき5年か6年に一回という割合でかぶを栽培するのです。 収穫が終わったら次に栽培するまでは何も手を加えません。

 焼畑農法でつくる温海かぶは400年の昔から変わっていない非常に伝統的な農法です。葉っぱを見て下さい、虫食いだらけでしょう。
無農薬なので虫食いだらけなのです。

斜面に生えたかぶ
かぶの収穫
7月8月の最も暑い時期に重なる焼き畑の作業はかぶの生育に必要な「リン酸とカリ」を土壌に蓄えるため。

 7月に入るといままで休ませていた畑の下草などを刈り取り、刈りたおした草木が乾燥する8月上旬からお盆頃までに焼畑を行います。
 一霞周辺の適期は例年旧盆の辺り、温度が早く下がるところからはやく蒔けるので、山手から蒔いていくのです。
 収穫は早いもので10月上旬〜12月。基本的に大きくなった物から収穫をはじめ、雪が降る頃まで続きます。

 かぶは、根菜類なので窒素はいらなくてリン酸とカリが必要です。
そのため普通の畑や田んぼの跡地での栽培は適しません。肥料の残りが残留している場合が多いからです。
 窒素が土壌に残っていると、葉ばかりが大きくなって根っこ(実が)ふくらみません。 なので、雑木や枯れ草などを焼いて灰にすることによって「リン酸とカリ」を土壌に多く含ませるのです。

 焼畑をしたらすぐに種をまきますので、その後強い雨が降ってしまうと水はけの良い斜面でも種が流れてしまい、斜面の下の方に偏ってしまいます。なかなか種を蒔くタイミングをつかむのは難しいです。

あくまでも自然に忠実に。けれども手抜きではない。 長年の経験とカンで絶妙な味付けに。

 肥料は基本的につかいません。一つの畑にコップ一杯半(約300g)ほどの種を手で蒔き、途中で間引きを行うほかは基本的になにもしません。言葉は悪いですがまさに「蒔きっぱなし」。400年の伝統を持つ自然農法なのです。栽培面積は35町歩ぐらい。斜面で作るのと連作が出来ないことからそんなにたくさんの収量を期待することは出来ません。

 収穫が終わると漬け込みです。基本的にかぶ漬けづくりは、米などを作り終わった後の冬場の仕事で春先まで終わるようにやっていますので必要以上にたくさんは漬けませんが、多いときは一日に3トンのかぶを漬け込みます。11月になって温度がある程度下がってからつけ込んだ方が歯触りのいいおいしいかぶ漬けが出来ます。工程としては1.3トンのコンテナで塩をまぶして3日間水抜きをしその後味付けをします。

 長年の勘で味は決めますが、それはなかなか人に教えることが出来る物ではありません。
 味付けは、水抜きの段階で水がどれだけ上がってきているかなどを目安にして決めています。 特別何をしているというわけではありませんが、基本に忠実に安心して食べていただける材料を厳選して漬けております。

収穫したかぶは、塩をまぶして水分を抜く。
重石をのせて水抜き。
2週間漬け込んだ温海かぶ
茎の付け根と根を取って形を整える。
後継者問題や、伝統的な焼き畑農法ゆえの限定生産。 数を増やすよりも、質の高さを維持し続けたい。の

 焼畑、そして、斜面を栽培するという農法では収量が限られています。またかぶの栽培、収穫自体も7月の暑い盛りに草を刈り、 8月の一番暑いときに畑を焼くというものであり、高齢化のため作業的には容易ではありません。
 毎年温海かぶを食べたいというお客さんがたくさんいます。温海かぶを食べた方々からも「もっと気軽に手にはいるようにならないのか」といわれたりしますが、私達の能力に見合った生産量を崩さずに作っているため量に限りがあります。
 
 春になれば農作業があるので、期間限定、数量限定生産、無くなればお断りしなければならないこともありますが、その分だけ質の高いかぶ漬けにこだわりつづけたいです。400年の伝統を持つかぶの栽培とこの味はずっと守っていきたいですね。

温海かぶ


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