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さくらんぼ 品目●果実
品名●さくらんぼ
◎バラ科の落葉高木/原産地は、ヨーロッパ・西アジア及びカフカス地方。甘果オウトウと酸果オウトウがある。甘果オウトウは、ギリシア時代にすでに栽培されており、日本へは明治の初頭に導入された。主産地の山形県は、日本の生産量全体の7割近くを占める。

さくらんぼ
ルビー色の夢を追って16年。「佐藤錦」誕生秘話。
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さくらんぼ

佐藤栄助 生みの親、在りし日の佐藤栄助氏。醸造業を営みながら果樹を少し育てていたが、後には果樹栽培一本に。相当の勉強家であり努力家であった。
甘くてほのかに酸っぱくて…初夏の愛くるしい人気者
 昔、「黄色いさくらんぼ」という歌が流行した。その頃のさくらんぼは黄色くて酸っぱいのが当たり前。ところが現代のさくらんぼは、鮮やかなルビー色に輝き、口に入れると甘い果汁がほとばしる。甘いだけでなく、さわやかな香りもある。愛くるしいカタチも手伝ってか、初夏のフルーツでは一番人気だ。
 ここでさくらんぼのミニ知識。「さくらんぼ」「オウトウ」「チェリー」使い分けの基本は──「オウトウ」は学術用語として使われ、木そのものや、木に成っている実のこと。「さくらんぼ」はもぎとられた果実、「チェリー」は加工品や輸入果実のこと。あくまでも概念的なものだが…。
 で、オウトウはバラ科サクラ属の果樹。日本に渡来したのは明治元年、山形県へは明治9年に入った。この時は全国で試作されたが、山形県のほかではほとんどが失敗。霜害・台風被害の比較的少ない本県だけが実績をあげた。
 その後さくらんぼ栽培は山形県内で普及し、官民一体となっての努力も実り、全国生産量の約7割を占めるまでの「さくらんぼ王国」ができあがった。
 ここしばらく、味も人気もナンバーワンの品種といえば「佐藤錦」。県内栽培の約6割を占め、名声は全国、そして外国にも届いている。何をかくそう、佐藤錦の生まれ故郷はほかでもない山形県だ。ここで、そのドラマチックな誕生の歴史をたどってみよう。佐藤錦のおいしさが何倍にもふくらみ、親しみも増してくるに違いない。
 佐藤錦の生みの親は、東根市の篤農家、佐藤栄助氏(1869〜1950)。氏は、さくらんぼの品種改良に夢をかけていた。というのも、明治時代は「日の出」「珊瑚」「若紫」などを栽培していたが、せっかく収穫したのに日持ちが悪くて腐らせてしまったり、出荷の途中で傷んでしまったりと、当時は品種的に悩みが多かったからだ。
 いよいよ長い試練が大正元年から始まる。栄助氏は、日持ちはよくないが味のいい「黄玉」と、酸味は多いが固くて日持ちのいい「ナポレオン」をかけ合わせてみる。この未知なるものはやがて実を結び、氏の夢をはらみながら、すくすくと育った。やがて実った実から種をとり、それを翌年にまいて50本ほどの苗を作り、その中から葉が大きく質の良さそうな苗だけを選び抜いて移植し、約20本を育てた。

一粒への夢と情熱。努力が最高の実を結ばせた。
 さらに根気強く、手間をかけて育てた結果、いよいよ10年後の大正11年に初めて新しい木に実がなった。これこそ世紀の発見である。「風味も日持ちもよく、そして育てやすいさくらんぼ」の夢に手が届きそうな実だ。ここで氏は、さらに良いものを選び抜き、最終的に一本にしぼって原木に決定した。
 この時までずっと栄助氏とともに情熱を傾けてきたのが、友人であり苗木商を営んでいた岡田東作氏だ。岡田氏はこのすぐれた新品種の将来性をいち早く見抜き、昭和3年に「佐藤錦」と名づけて世に広め、実質的には育ての親となる。大正元年から苦節16年、ここに山形生まれの比類なき品種が誕生したのである。名前をつける時、はじめに佐藤氏は「出羽錦」との案を出したらしい。これに岡田氏は反対し、「発見者の名前を入れた『佐藤錦』がいい」と押し通したとの、ほのぼのとしたエピソードが残っている。
  「何かに夢中になると、なりふりかまわずのめり込む人でした」と振り返るのは、栄助氏の孫にあたる佐藤栄泰氏。「佐藤錦の原木は、フスマ袋をはぎ合わせた、大がかりな雨よけテントなどをかけられ、とにかく大事にされていたようです」とのこと。「ほかの木に比べると本当に甘くてうまかった」とは、なんともぜいたくで、貴重な思い出語りだ。
 この後、佐藤錦は少しずつ出荷量を伸ばし、昭和50年頃から生食用の需要が高まって一気に全国区に躍り出る。その特長は、見た目がきれいな鮮紅色で光沢もあること。甘みが多く、果皮が厚くて遠地輸送にも耐え、さらに収量が安定していることなど。また重さは一粒7〜8gだが、このごろでは12〜13gの大玉も見られる。

収穫
高さがあるため、収穫には昇降機を使う。昔は木を伸ばし放題。じつに5間(約9m)のハシゴを直立させて収穫したという。
ちょっぴり高価だけどなるほどナットク!
 さて、さくらんぼはなぜ高価なのか?──その答は簡単で、気象条件の難しさも含めて、栽培の手間が驚くほどかかるからだ。たとえば気候的に本来は、4〜5月上旬の遅霜が軽く、6〜7月上旬が比較的湿気と雨が少ないことが望ましい。山形県は全国でも数少ない適作地といえるが、それでも遅霜があり、梅雨の時期もある。そこで生産者は、遅霜の被害に合わないようヒーターや電気ファンを使うなどして温度管理をこまめに行う。
 受粉はミツバチを放し飼いにする方法と、人の手で毛バタキを使う方法などを組み合わせ、確実に受精させる。また、実が生育するときに雨にあたると実割れしてしまうので、面倒だが雨よけハウスは欠かせない。さらに、日当たりが悪いと色がつかないことから、収穫期が近づくと、日かげを作る余計な葉をつみとるなど、毎日手をかける。
 やっとのことで収穫だが、これも1個1個色づきを見て確認し、軸をつけてそっと手でもぎ取る。パック詰めともなると、向きをそろえ、粒をそろえながらの熟練した腕も必要になってくる。自家消費の場合はバラ詰めでもいいが、贈答用には、やはり美しく並んだ手詰めの人気が高い。


さくらんぼ
同じく農業生産技術試験場が交配・選抜し、平成9年の8月に名前の付いた「紅てまり」。極晩生の品種。今秋から苗木が出るが市場には4年先ぐらいの登場…。今から待ち遠しい。
もっとおいしく、楽しく…さくらんぼの明日に期待!
 「さくらんぼは最初から最後まで人間の手をかけてやらないとね」と、生産者。収穫の後も肥料を与えたり、冬のさなかの枝の整理、芽かきと続き、1年中世話をする。これで「果樹園の宝石」といわれる理由も納得できよう。
 山形県の農業生産技術試験場では、省力化のために木をコンパクトにする「わい化栽培」の技術開発をはじめ、佐藤錦を親とした次世代の優良品種も開発している。新品種では「紅秀峰」「紅さやか」「紅てまり」などが有望株だ。さらに雪国ならではの、雪室を利用したユニークな抑制栽培、ハウスでの超促成栽培なども実用化が進められている。クリスマスやお盆に食べる真っ赤なさくらんぼも楽しみだ。
 ところで、さくらんぼは鮮度が落ちるのが早い。買ったらすぐ!か、さくらんぼ狩りで、摘んだらすぐ!食べてほしい。せっかくのルビー色の輝きが色あせないうちに…。

ショートショート
知ってる?さくらんぼの「背中」と「おなか」…。
もらって大感激の、きれいに手詰めされたさくらんぼ。鮮やかに赤く、容れ物にすき間なくきっちりと並べられた様子は、さながら名人芸を見るよう。一つ一つサイズプレートと合わせて大きさを選別し、同サイズのものだけを並べていくが、熟練した腕がないとこうはいかない。ところでこの時のさくらんぼ、実は背中を上に向けて手詰めされているのだ。おなか側にはタテにスジが一本。さて、粒揃いの美しさを見せるためには、すべての背中が赤く色付いていることが条件。そのため収穫時には、背中も確認しながら摘む…という手間をかけている。

さくらんぼ

サイズプレート

さくらんぼ
●産地
 東根市 天童市 寒河江市
 村山市 河北町 ほか
●主な品種と収穫時期
収穫時期

【成分表】(可食部100g当り) 【取り寄せ情報】
エネルギー 60kcal 、水分 83.1g、たんぱく質 1.0g、脂質 0.2g、炭水化物 15.2g、灰分 0.5g ●JA全農山形 直販センター
tel.023-655-3688
fax.023-655-3635
●JA全農庄内 園芸販売課
tel.0234-26-5251
fax.0234-23-7731

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