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西洋梨 品目●果実
品名●西洋梨
◎バラ科の落葉高木/ラ・フランスは西洋梨の一種。梨は、日本梨・中国梨そしてヨーロッパ原産の西洋梨とに分けられる。70種類余りの西洋梨のうち、山形県ではラ・フランスをはじめバートレット、マルゲリット・マリーラ、シルバーベルほか10数種が栽培されている。中でもラ・フランスは名実共に最高峰。

西洋梨
「みだくなす」から女王様へ
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西洋梨
 「みだぐなす」とは、「見たくなし」、つまり「みばえが悪くかっこ悪いもの」といった意味の方言だ。こんなあだ名をつけられていた果 物なのに、その驚くほど上品でとろけるようなおいしさが知れわたるや、一躍フルーツ界の女王となってしまった。いま、生産量 では山形県が全国の約80%を占め、「くだもの王国やまがた」の中でも、まさに女王様。そのシンデレラストーリーをさぐってみよう。
 そもそも西洋なしは16世紀頃からドイツ、イギリスで栽培されはじめ、18世紀のイギリスで代表的な品種のバートレットが発見される。これが明治の初めに日本に入った。山形県では、古くからのなし産地である東置賜郡屋代村(現在の高畠町)で明治8年から植え付けたといわれる。
 しかし当時は、実ったはずの果実を食べようとしても、石のように固くてまずい。「こんなもの食べられないと捨てておいた。それが時間がたつと黄ばんで香りがしてきたので、拾って食べたところおいしかった。収穫の後に熟させてから食べることに初めて気づいた」という笑えない記録がある。
 一方で、屋代村相森の古文書には、「明治42年、皇太子(後の大正天皇)行啓の折に和梨を献上したところ大いに喜ばれ、金一封とバートレットの苗を賜わった。これが本県の西洋なしの歴史のはじまり」という内容もある。あれこれ推察すると、明治初期に確かに苗木はあったが、皇太子行啓をきっかけに、山形での西洋なしづくりの機運が一気に高まったと考えられそうだ。
 その後バートレットは缶詰加工用として盛んに作られる。このバートレット畑に細々と植えられていたのが、当時は受粉樹の身だったラ・フランスだ。  ふつう果樹は単一品種だけでは実がなりにくい。そこで違う品種を受粉樹として畑に入れ、実を結ぶ確立を高めるという栽培手法をとる。

生まれ故郷ではもう作られず

西洋梨
明治42年当時の献上和梨(早生赤か赤龍)ではないか?と見られるもの。今でも古木が現存する。甘みは少ないが大玉で立派である。
 
和梨献上のお礼に御下賜と古文書が謳ったバートレットの同種。
 ラ・フランスは1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見。そのおいしさに「わが国を代表するにふさわしい果物である!」と賛美したことから「ラ・フランス」と名前がついたという。
 日本には明治36年に、山形県には大正初期に入った。しかし生まれついての「みだぐなす」と、栽培に手間がかかることから、受粉樹という日陰の立場に甘んじていた。
 しかしいよいよ「みだぐなす」にスポットの当たる日が来る!昭和40年代頃から缶詰よりも生のフルーツへと需要が移り、生食用の決め手としてラ・フランスの真のおいしさが注目されたのだ。
 ラ・フランスは、別名「バター・ペア」。特有の芳香と、果汁がしたたるち密な肉質は、まさに西洋なしの最高峰。初めは一部の人向けの高価な果物としてわずかに出回っていたが、グルメブームの到来で、広く一般的に入手できるようになった。
 ラ・フランスは西洋なしの中で一番開花が早いが、実がなるまで期間を要する。生育期間が長ければその分手間がかかるし、病害虫や台風の影響も受けやすい。故郷のフランスで作られなくなったのもこのためだ。
 有機質を入れる土作りから始まり、枝の整理、病害中防除、つぼみの段階での数の整理・実の数の整理を重ねて大切に育て上げる。官民一体の研究努力が実り、ようやく生産体制が安定したのが昭和60年頃。これ以降は、栽培面積、収量ともグンと伸びている。

「食べ頃サイン」を見きわめて

西洋梨
室温でじっくり追熟すると、果汁たっぷり!クリーミー。外見からは想像もつかない高貴な香りで人を酔わせる。待つ楽しみの後に至福の時…。
 収穫してからおいしく熟させる「追熟」のメカニズムはこうだ。もぎたてのラ・フランスは2%ほどのデンプンを含み、クエン酸などの酸も多い。これが追熟するうちにデンプンが果糖やしょ糖、ブドウ糖などの糖分に分解され、ビタミンBやCも多くなる。また果肉中のペクチンも水溶性のペクチンに変わるため、とろりとしたなめらかな肉質になってくる。追熟の期間は常温で2〜3週間。食べ頃は、軸の周囲の盛り上がっている部分、そこを「肩」というが、肩を指で押してみて、耳たぶぐらいの柔らかさだったらOK。ただ果皮の色はほとんど変化がないので注意しよう。ところで、店先に並ぶラ・フランスの熟れ具合を指で押して調べるのはマナー違反…。
 「食べ頃」を出荷ケースごと均一にするのに役立っているのが、「予冷」の方法だ。収穫してすぐ摂氏2〜5度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制する。そして常温に戻すと、ラ・フランスは一斉に呼吸してデンプンを糖分に変え、約2週間後が食べ頃になる。
 地元ではラ・フランスの人気にあぐらをかいているわけではない。山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場では、より育てやすく、味も品質もよい西洋なしの新品種の開発を推進。中でも、ラ・フランスとバートレットをかけ合わせて完成した「バラード」は最有望株。450g前後という大玉で、主な品種の中でも甘さはナンバーワン。またやはりラ・フランスを親とするシルバーベルも晩生の大玉品種としてすでに市場をにぎわしている。
 さて、「みだぐなす」から女王様へ、めくるめく出世物語も終幕。クリーミーな果肉をほおばる。口の中にさわやかな甘みとほどよい酸味が広がり、それはもう夢見ごこちのおいしさ。そのとろけるような味と香りは、食べた人を必ず女王様気分にしてくれよう。

ショートショート
豊作と行商での無事を祈って建立
 高畠町の中心に近い相森山に鎮座する梨子(なし)大明神の石碑。社殿は「悪病退散祈願の御利益に預かったことから享保初期に再建…」と部落の古文書に記されていたと言うから、歴史は相当古いようだ。御尊像は梨の古木を彫ったもので、周囲にも梨の木を植えたところそれが天下一品の美味となり、のちに名産品になったと言い伝えられている。近世に建て替えになったようだが、それでも石碑にはうっすらと明治中期頃の年号が見てとれる。この辺りは、以前は和梨の大産地でありそれが洋梨に取って代わった。変遷の歴史を相森山の頂上からずっと見続けていたのが、この石碑である。
石碑

西洋梨
●産地
 天童市 東根市 上山市
 高畠町 大江町 ほか
●主な品種と収穫時期
収穫時期

【成分表】
【取り寄せ情報】
エネルギー 54kcal 、水分 84.9g、たんぱく質 0.3g、脂質 0.1g、炭水化物 14.4g、灰分 0.3g ●JA全農山形 直販センター
tel.023-655-3688
fax.023-655-3635
●JA全農庄内 園芸販売課
tel.0234-26-5251
fax.0234-23-7731
●JA鶴岡 園芸特産課
tel.0235-29-2828

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