江戸時代から続く伝統野菜「赤かぶ」
パリパリとした食感と絶妙な漬け方で提供される「かぶ漬け」。
山形県では、ある特定の地域で代々伝わってきた珍しい「かぶ」を、漬物などで食べることができます。先祖代々種を受け継ぐほど、山形ではかぶは親しまれてきました。今回の旬の情報は、山形各地の珍しい「伝統野菜の赤かぶ」を紹介します。

2013年1月25日掲載
パリパリとした食感と絶妙な漬け方で提供される「かぶ漬け」。
山形県では、ある特定の地域で代々伝わってきた珍しい「かぶ」を、漬物などで食べることができます。先祖代々種を受け継ぐほど、山形ではかぶは親しまれてきました。今回の旬の情報は、山形各地の珍しい「伝統野菜の赤かぶ」を紹介します。
鶴岡市の温海地域で焼畑農法で栽培されています。原産は中央アジアでシルクロードを経て日本に伝わったと言われていて、天明5年(1785年)に徳川幕府に献上したとの記録が残っています。形が丸く、皮の部分が赤いのが特徴です。甘酢漬けで提供されます。
温海かぶについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【やまがた伝統野菜:温海かぶへ 】
大蔵村の滝ノ沢地区で生産されていて、全体的に赤く、下部にいくと少し白っぽくなります。大根に近い形状で肉質が固く、近くの肘折温泉へ出荷していることからこの名がつきました。昔は塩だけで漬けていましたが、今は甘酢漬けとふすべ漬けにしています。一旦廃れてしまいましたが、平成21年から漬物加工したものを肘折温泉のお土産として販売したところ、すぐに売り切れるほどの人気だとか。
肘折かぶについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【やまがた伝統野菜:肘折かぶへ 】
新庄市で自家採種して栽培しているかぶで、土から出ている部分が赤く、地中部分と内部は白い。形は細長くなうもの(写真左)と下部が丸くなるもの(写真右)とがあります。酢や砂糖が貴重だった頃は、塩や味噌だけで漬けたものを春先まで食べたということですが、現在は酢や砂糖を使った甘酢漬けで食べるのが一般的になりました。
金山町で百年以上前から代々吉田家の主婦が種を選抜して栽培してきたかぶ。最上かぶと似ているが最上かぶより赤紫色が濃く、長くなります。甘酢漬けにして食べます。「かぶ漬けをおいしいと言ってくれる人がいるので嬉しいし、作り続けていられる」と吉田家に伝わるかぶを大切に守り継いでいます。
真室川町の中川家のみで代々自家採種してきたかぶ。形がちょうど「とっくり」に似ていることから、そう呼んでいる。肉質は柔らかく、水分が多く、甘酢漬け、麹漬け、よう(鮭)汁にして食べています。
鮭川村の石名坂地区で栽培されてきたかぶ。細長くなるものと下膨れするものとがあり、甘酢漬けや鮭のざっぱ汁の具としても食べています。食感が良いことから下膨れのものを代々自家採種してきた家もあります。
舟形町の西又地区で栽培されているかぶ。標高が高くないとこのかぶの特徴は出ないので、西又地区でも標高400mの畑で栽培しています。形は大根のような形で硬く、全体的に赤く色づく。生で食べると甘いが、漬けると辛味が出てくるのが特徴です。
生産者はかぶは歯ごたえで決まると、生産地にこだわっています。
舟形町の長尾地区で栽培されているかぶ。全体が細長く下部にいくにつれ赤色から薄い桃色に色づく。真ん中くらいから曲がっているのも特徴です。内部は白くきめの細かい肉質。様々な漬物のほか、ふすべ漬けにしたり川ガニの味噌汁の具にして食べています。
戸沢村の角川地区で栽培されているかぶ。交配が進んでいて各家々が好みにあったかぶを選抜しているといいます。ある家庭のかぶは、同じかぶから種を取っても4種類のかぶが発生します。写真は選抜したかぶで紫色(写真左)と赤色(写真右)の2種類。甘酢漬けや麹漬け、甘酒漬けにして食べています。
尾花沢市、大石田町で栽培されているかぶ。大根のような形をしていて、全体的に紫がかった赤色をしています。根の内部にも色素が入ります。肉質は硬く、内部は、うっすら赤が入ります。
尾花沢市牛房野地区で古くから山を焼いて栽培している長かぶです。全体的に赤紫色となり、内部にも色素が入ります。葉は生育初期から淡紫赤色を帯びます。肉質は繊維質で硬く、辛味があります。塩漬け、ふすべ漬けにして食べます。
大石田町次年子地区で栽培されている真紅の長かぶです。昔は山の斜面を焼いて無肥料で栽培されていましたが、現在は普通の畑で栽培しています。大根に似た形状で、根の表面は全体が農紅色、内部にも色素が入ります。肉質は繊維質で硬く、辛味があります。
A | 砂糖…1㎏ |
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塩……1カップ(180cc) | |
酢……500㎖ |
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材料比=6:1:1 の比率で覚えておくとよい。 かぶ:砂糖:塩:酢=6kg:1kg:1カップ(180cc):1本(500cc) |
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